- 火災保険とは
火災保険の対象になるリフォーム工事は、火災が原因で住宅が損傷を受けたときだけではありません。風災・雪災や豪雨などによって屋根の修理や雨漏りの補修が必要になった場合でも、火災保険の補償対象になります。また地震保険にも加入している場合は、震災被害を受けた箇所の補修をできる場合があります。しかし、規定が細かい火災保険や地震保険を利用して、悪質なビジネスや詐欺を行っている業者も数多くいます。火災保険の対象工事や注意点、よくあるトラブルを理解しておき、リフォーム時の失敗を防ぎましょう!
住宅の火災保険は、建築物が火災や風水害の被害にあった場合、補償してもらえる損害保険です。
火災保険の補償対象として適用されると、リフォーム・修理費用の自己負担金が大幅に軽減できるというメリットがあります。
ただし、保険申請の結果が出るまでに2、3ヶ月かかるため、急いで補修工事をしたいときには不便に感じることもあるかもしれません。
そうとはいえ、予期できない火災や自然災害で、いつ大切な住宅や家財が破損・欠損してしまうかは分かりません。
屋根や雨樋の補修を行う際、火災保険に入っておくと保険の対象になることが多いため、万一のときに備えて加入しておくと安心です。
火災保険の補償対象
火災保険の補償対象になるのは、火災、落雷、風、雪、雹(ひょう)、水災、物体の落下・飛来、破裂、爆発が原因で、損壊・破損した住宅の修理工事を実施する場合です。
また、盗難にあってしまったときも適用されます。
加入している保険によっては、水災が対象外であったり、配管からの水漏れが補償対象に含まれていたりすることもあるため、契約書類の内容を細かいところまで必ずチェックしておくことが重要です。
さらに、住宅用の火災保険の補償は「建物」と「家財」に分かれており、それぞれ別々に契約が必要になるので注意してください。
建物だけ補償されているのか、家財のみが補償されるのか、いずれも補償範囲に入っているか、という点もあわせて確認しておきましょう。
地震による被害の場合は「地震保険」に加入している必要がある
なお、地震によって発生した火災については、火災保険の対象外です。
ただし火災保険と一緒に「地震保険」にも加入している場合には、地震によって発生した火災や、地震による外壁のひび割れ補修なども、保険の対象となる可能性が高いです。
契約内容を勘違いしないように、くれぐれもご注意ください。
火災保険で修理・リフォームする手順や方法
火災保険でリフォームできる?地震の場合は?修理対象・注意点・トラブル対策について
火災保険は基本的に自分で申請できるものですが、屋根など高所の被害箇所を撮影する必要があるときには、危険なので申請を代行してくれるリフォーム会社に委託することをお勧めします。
ただし、代行業を騙ってくる悪徳業者も多いので、業者選びは慎重に行わなくてはなりません。
よくある悪質な業者の手口については、後ほどご説明するので参考にしてくださいね。
災害などにより、火災保険を使ってリフォームする際の、申請手順と方法は以下の通りです。
①リフォーム業者や修理業者に依頼
まず何よりも肝心なのは、信頼できるリフォーム会社を探すことです。
火災保険が適用されるかどうかに関わらず、親切で丁寧な施工業者に出会わなくては、リフォームを成功させることはできません。
また、施工業者の信頼度によって、保険会社が申請を許可する確率が変動するという事実もあります。
できるだけ早く修理したいものではありますが、複数社に見積もり依頼をして、信用できる事業者を選びましょう。
②現地調査
施工を依頼する会社が決まったら、現地調査に来てもらいましょう。
内容としては屋根や外壁などの修理箇所チェック。被害状況によっては、自宅の中に入って調査されることもあります。
工事が必要な部分・箇所の写真を撮影し、保険の申請ができるかどうかを判断してくれます。
もし火災保険の対象にならなかったとしても、現地調査費はかかりません。
なお、火災保険の利用を希望せずに現地調査をお願いした場合には、調査費が数万円かかることがあるので、必ず調査を依頼する際に相談しておきましょう。
③施工業者と契約
ご自宅の修理が火災保険の対象と判断されたら、修理費用の具体的な見積書を作成してもらいましょう。
問題がなければ、正式に施工業者と契約を交わします。
④火災保険の申請
修理依頼の契約が完了したら、ご自身で火災保険会社に申請を行いましょう。
保険の申請を代行してくれる施工会社であれば、そのまま保険会社に書類を送付してもらい、あとは保険会社からの結果を待ちましょう。
⑤保険会社(代理店)による調査
施工業者の見積もり内容が正当なものであるかどうか、損害保険鑑定人が調査しに来ます。
なお、保険会社との信頼関係がある業者が修理工事を行う場合には、鑑定人による調査は省略されることもあります。
⑥保険金の受け取り・施工開始
保険会社より、火災保険の対象と無事に認定されると、申請者が指定した口座へ対象金額が入金されます。
入金を確認したら、施工業者へ修理代金を支払い、いよいよ工事スケジュールを決定・補修工事を開始できます。
火災保険リフォームのよくあるトラブルと対策
それでは最後に、火災保険でのリフォームにおいてよくあるトラブルの事例と、回避するための対策についてご紹介しておきましょう。
「火災保険で無料リフォーム」の文句には注意
火災保険を悪用したリフォームの勧誘で、特に多いのが「火災保険で工事費0円」をうたう事業者です。
しかし保険金額が決定するのは、保険会社側の調査が入ってからです。
その前に工事の見積書が作成され、契約を締結してしまうわけですが、この時点ではまだ工事費の全額を保険金でカバーできるかどうかは分かりません。
結局、当初予想していた額よりもずっと低い保険金しか受け取れず、高額な工事費を請求されて自己負担金が高くついてしまったという例は非常に多いです。
結果的に、補修工事費が実質0円になったというケースもないわけではありませんが、そもそも良質な会社のスタッフであれば、自ら「実質無料」の文句を売りにしてくることはほとんどありません。
工事を始める前から「タダで工事ができます」と勧めてくる業者には、絶対に騙されないようにしましょう。
割高の解約料を請求された
「すぐに直さないと家全体が劣化してしまいます」などと言われて強引に工事の契約をさせられたり、「保険金が出たら即、修理工事が完了する前に工事費を全額振り込むように」という契約を取り交わしたりと、納得がいかない形で業者に依頼してしまったものの、施工の仕方や打ち合わせがずさん。
そこで解約したいと交渉したところ、高額な解約料を請求された、という事例も多発しています。
まずは不用意に契約しないことが、トラブルに巻きこまれないための最善策です。
よけいな申請代行手数料をとられた
親切心で火災保険申請の代行をしてくれる会社は多いです。
一方で、保険の申請手続きの面倒さを逆手にとって、割高な代行手数料を請求する業者も、残念ながらたくさんいます。
さらに悪質なことに、本来は火災保険の対象にならない工事なのに「保険申請を代行する」と手数料を請求してくる事業者もいるようです。
中でも、雨漏りは火災保険の対象になりやすいため、悪用する業者が増えています。
どうしても火災保険を自分で申請できない場合は、火災保険の会社から信頼されている、申請代行の実績がある会社を探しましょう。
無事に保険金がおりたところで、それ以上の代行手数料が発生してしまった場合、かえって損をしてしまいます。
おりた保険金をとっていく契約書もあるので用心を
また契約書内に、おりた保険金は全額いただいていきますという内容が記述されていることに気が付かなかったというパターンもあります。
つまり、修理工事費用として充てるために申請したはずの保険金を、業者に全額だまし取られてしまったのです。
契約書に記載されている文言は細かく確認し、明らかにこちらが不利になってしまう内容がないか、見落とさないようにしましょう。
火災保険のリフォームで悪徳業者に引っかからないためには、「安易に契約しないこと」が一番の予防策です。
また、訪問営業は基本的に信用しない、ということも、トラブルに巻き込まれないための鉄則と言えます。
工事・契約を急かされた
台風や集中豪雨・大きな地震の直後には、「すぐに修理が必要です」と不安をあおってくる業者による被害が多発します。
不当な金額の工事費を支払わされたり、前述したように高額な解約料や代行手数料を請求されたり、保険金を全額持って行かれたりと、様々な問題に巻き込まれてしまうのです。
火災保険の悪用に限らず、訪問営業でリフォームをさせようとする悪徳業者は数多く存在します。
万一、早く補修したい場所があったとしても、即契約してはいけません。
「家族と相談する」「今すぐの修理は考えてえいない」などと断りましょう。
本当に親身になってくれる企業やスタッフであれば、予算に合わせて解決する修理方法を、時間をかけてじっくり提案してくれるはずです。
気になることがあったら、契約する前に必ず、加入している保険会社、に確認しましょう。
そして何より、火災保険を利用した修理工事の実績・経験が豊富な施工会社に出会うことが、最も大事なポイントになります。